2025.11.15
香りに包まれながら。自然と人に寄り添うアロマセラピスト、一瀬ひろみさん 。
海と山のあいだを抜けるように、静かな風が吹く音海(おとみ)。穏やかな入江はどこか懐かしく、思わず立ち止まってしまいます。

ここに、自然療法と natural なライフスタイルを提案するサロン「GREEN LEAVES(グリーンリーブス)」があります。アロマセラピスト・植物療法士の一瀬ひろみさんが営む、海辺の小さなサロンです。

GREEN LEAVESでは、無農薬・オーガニックで育てたハーブや、土地に根ざした植物、天然素材や精油を用いながら、アロマセラピーによるトリートメントを中心に行っています。

精油の香りとタッチを通して心身を深くゆるめる施術やカウンセリング、フットマッサージ、全身ケアなど、その人の状態に合わせたセラピーを丁寧に提供しています。

窓の外には音海の海が広がり、波の音がふと届くことも。植物の香りが広がる室内は、訪れた人が自然と深呼吸したくなる癒しの空間です。
自分にとって大切なもの
アロマとの出会い。
ひろみさんは高浜町・青郷で生まれ育ちました。大学進学をきっかけに町を離れ、その後は神戸で約20年暮らします。音楽関係の会社に就職し、ピアノやエレクトーンの講師として働く日々が続いていましたが、ある時、体調を崩したことが大きな転機になりました。

「その頃、友人からラベンダーの精油をプレゼントしてもらって。当時は精油の知識もなく、半信半疑で使い始めたんですが、ふっと心身がゆるんで…。とっても安らいだんです」

心身があたたまり、よく眠れた——そんな実感があったとひろみさんはいいます。その体験が「これが自分にとって大切なものかもしれない」「もっとアロマを知りたい」という興味へと変わっていきました。

「それから自然療法を学べるスクールの体験会に参加したんです。こんなに温かくて、癒しの世界があるんだなと思いました。気がついたらプロ資格講座に申し込んでいたんですよ(笑)」

仕事を辞めて学びに専念し、イギリスの国際資格 IFPA(アロマセラピスト)を取得。その後は関西の大手スクールで4年半、アロマセラピストのスキルを磨いていきました。
青葉山が教えてくれた
帰る理由と、音海での暮らし。
そんなある日、ひろみさんは地元・高浜町の青葉山に自生する薬草について書かれたブログ記事を目にしました。
青葉山には希少価値の高い薬草が数多く自生し、その恵みを活かした事業が始まろうとしている——。

生まれ育った町にそんな可能性があることを初めて知り、驚きとともに、これまでハーブや薬草に関わってきた自分の歩みと重なるものを感じたといいます。

「ちょうどハーバルビレッジがオープンした頃でしたね。自分の学んできた自然療法の知識を高浜でも活かせるかもしれない。そう感じたことが、約20年ぶりにUターンを決める大きなきっかけになりました」
▼ハーブを使った手作り石鹸「My Earth Soap」

高浜に戻ってからしばらくは、実家の一室を整えて“仮サロン”としてスタートしました。施術や石鹸作りのワークショップなどを少しずつ続ける中でご縁が広がり、現在のご主人と結婚。そして数年前、家を建てるタイミングでサロンの拠点も音海へ移りました。

「近くに朝日が綺麗な場所があるんですよ。たまに早起きしてぼーっとしに行くこともあります。高浜に帰ってきてからは、自然からもたくさんエネルギーをもらっている感じですね」
喜びの感覚に、耳を澄ませる。
GREEN LEAVESのケアはアロマセラピーをベースに、必要に応じてクレイ(粘土)、ハーブ、フィトテラピー(植物療法)、東洋医学の経絡へのアプローチなどを組み合わせていきます。


最初にじっくり話を聞き、表に見えている不調だけでなく、その奥にあるものにも目を向けることを大切にしているとひろみさんは話します。


「身体からのメッセージや心・魂の領域までホリスティックにとらえながら、精油やハーブを調合し、ケアの内容を組み立てています。人の身体に触れる仕事だからこそ、基礎医学、解剖生理学、薬理学なども日々学びながら、経験を積んでいます」

一方で、お客さんが香りを手に取って深く吸い込んだときに感じる「なんとなく好き」「なんとなく癒される」という感覚も大事にしており、それが“今”その人が求めているものにつながっていると話します。

「食事についてもそうなんですけど、以前はオーガニックにすごくこだわっていた時期がありました。でも最近は、ジャンクなものでも“今これが食べたい!”という気持ちを大切に、喜びの波動を感じて食べてます(笑)」

「お客さんにもよくお伝えするんですが、自分自身の声を聞いて、自分に愛を向けてほしいなって。罪悪感ではなく、喜びの感覚で生きること。それが心と身体の健やかさにつながるんじゃないかな」

また、ひろみさんは「未来を細かく決めすぎず、“今ここ”に意識を置く」生き方も大事だと感じているそうです。
目の前の1日を丁寧に積み重ねることで、不思議と仕事のタイミングやご縁が“ちょうどよく”訪れるのだといいます。自分が心地よく暮らしていると、自然とそれに共鳴する人が集まってくる、そんな実感があると話します。
▼オープンガーデンにて

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青葉山と音海の海に寄り添うように、GREEN LEAVESの扉は今日も静かに開いています。 やさしい香りに満たされた空間で、ひろみさんが穏やかな笑顔で迎えてくれます。
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