2024.2.7

~高浜町の食育~

楽しく、おいしく、地産地消。地域ぐるみで行う、幼児期の食育。


高浜町では約10年前から本格的な食育の取組みが進んでいます。特に味覚を形成する幼児期に、食べることを楽しむこと、そしてバランス良く食べることが自分の活力になることを伝えることで、成長とともに食に対する意識も自然と高めていくことを目的としています。

 

 

幼児への食育がはじまり、最初にトライされたことは給食献立の見直し。栄養バランスを考えるとともに、積極的に地域の食材や季節の食材を使うことも意識されています。さらに地域の食材とはどんなものか、食べ物が食卓に並ぶまでに関わっている人たちのこと、食べ物がどんな力になるのか…などを学ぶ機会をつくることにも注力されています。

 

 

その食について学ぶ機会のひとつが、町の風物詩『わかめ干し』です。わかめ干しは、町で食育が始まった約10年前からずっと続けられており、保育所やこども園での食育が進むきっかけになった行事です。

 

 

はじめは手探りで行われていたわかめ干しでしたが、だんだん食育への意識が高まり、現在は海が近い、山が近いなど、各保育所・こども園の特色を生かした独自のやり方で行われているのだとか。また漁業関係者など地域の生産者さんが積極的に参加してくださることで、とても質の高い食育行事となっているそうです。高浜の食育には、地域の力が欠かせないものとなっているのですね。

 

 

知ってほしい。『美味しい』を届けてくれる、地域の人たち。


地域との関わりが核となっている高浜の食育。いつも食べている『ごはん』が、たくさんの人の手によって、みんなの食卓までつながれていることも、伝えていくべき大切なことです。

 

そのため、毎年、ブルーベリー狩りや野菜の収穫などの体験で、生産者さんたちとふれあいながら、食のルーツを知る学習が行われています。今年は高浜漁港がリニューアルされたこともあり、魚のセリや選別が行われる「荷捌き施設」や水産物を加工する「はもと加工販売所」に見学へ。

 

 

▼荷捌き施設の二階からは、漁師さんたちが仕事をする風景が見学できます。

 

魚は漁師さんが海から獲ってきて、それを選別する人、売る人、捌いて加工する人、トラックで運ぶ人、そして給食やおうちの食事をつくる人…みんなは、こんなに多くの人のおかげで美味しいごはんが食べられるのだということを、フリップやムービーを使いながら説明。食育や水産に詳しい役場の人や荷捌き所のスタッフが、いろいろ教えてくれます。

 

 

子どもたちからは、サメはいないの?いまはどんなお魚がおいしいの?など、質問の手があがります。

 

 

荷捌き所のスタッフの人は、ひとつひとつ丁寧に「海にはサメもいるし、カメもいるよ!」「秋冬はブリやサワラがたくさん獲れるけど、夏は漁が少なくなるんだよ。」と、笑顔で回答。みんな、にこにこ、楽しそうに質問していました。

 

 

荷捌き所の見学が終わったら、すぐ近くのはもと加工販売所へ。

 

 

実際に魚を捌いて加工する様子を至近距離で見せてもらいます。この日は鯛やしいら、イカの加工が行われていました。

 

 

切り身ではない、自然の姿のままの魚に子どもたちは興味しんしん。

 

 

いつも食べているのはどの部位なのか、1匹の魚から何切れくらいの切り身がとれるのかなど、たくさんの質問が飛び出しました。

 

 

楽しく、新鮮な時間を過ごした子どもたち。とても素敵な食育体験でしたね。食の大切さを伝えたいという町の考えに共感し、積極的に協力してくれる町の生産者さんたち。地域とのふれあいにより、子どもたちは食の大切さをしっかり学ぶことができ、また同時に地産地消への感心も自然と高まっているようです。

 

 

 

 

楽しみながら学んでほしい。三食レンジャーと地産地消。


高級魚として知られる『若狭ぐじ』は、高浜の代表的な地域食材です。なかなか普段から食べることができないお魚ですが、子どもたちにはぜひ地域の味を知ってほしい。そこで地産地消をアピールするために、町のオリジナル戦隊ヒーロー『三食レンジャー』ががんばっています。

 

 

レンジャー登場前に、まずはぐじの基本的なことをお勉強。生の状態のぐじを見て、色や匂い、触った感じなどを体感します。子どもたちは「くさい」「ぬるぬるしてる」「赤い色をしている」など、たくさんの感想を口にします。

 

 

この後、焼いたぐじをみんなで食べるのだとか。焼くとどんな風に変わるのかな?楽しみですね。

 

 

ぐじが焼けるのを待つ間、みんなを楽しませるのは三食レンジャーのお役目。子どもたちの呼び声とともに登場して、楽しくふれあいます。

 

 

体をつくる赤、体をうごかすエネルギーになる黄色、体の調子を整える緑。さらに三食しっかり食べようという意味も持つ三食レンジャー。今日の給食に使われている食材が何色のものなのか、レンジャーと楽しみながら勉強します。

 

 

▼野菜やお肉など、それぞれのレンジャーが持つパネルにを区分けして貼っていきます。

 

▼地産地消という言葉も三食レンジャーが教えてくれます。

 

地産地消という難しい言葉も、レンジャーが教えてくれれば、楽しく覚えられますね。この三食レンジャーも町で本格的に食育が行われはじめてから生まれたキャラクター。子どもたちに食べることの大切さを伝える、立派な『食育の味方』です。

 

 

この後は焼いたぐじをみんなで観察。

 

 

目の前でほぐしてもらうと「茶色くなった」「匂いが美味しそうになった」など、生のぐじと比べてどんな風に変わったか、たくさんの感想が飛び出しました。

 

 

▼早く食べたいと待ちきれない様子。

 

最後にほぐしたぐじを給食の時間に食べます。ぐじの味はどうだったでしょうか?

 

 

教室から「甘い~!」と声が聞こえてきました。高浜町自慢のぐじの味、しっかり覚えておいてね。

 

 

目で見て、触って感じ、そして食べて知る若狭ぐじ。行政、保育所・こども園、地域の生産者、多くの人の力と想いによって、子どもたちは楽しみながら地産地消を学んでいます。地域の食材は、このような特別なイベントのときだけでなく、毎日の給食でもしっかり取り入れられているんですよ。

 

 

 

小さなことからコツコツと。毎日、いつでも地産地消。


地域の食材に親しむことは、特別なイベントのときだけでなく、普段の生活にもしっかり取り入れられています。

 

 

子どもたちが毎日食べる給食には、地元でつくられた野菜、町内の漁港であがった魚などが積極的に取り入れられています。

 

 

給食のときに飲むお茶も地元で栽培された杜仲茶を使用。各保育所、こども園にある給食室には、ほぼ毎日、地元の生産者さんが食材を届ける姿が見られます。

 

 

▼お茶は地元の特産、杜仲茶。地元の事業者さんから仕入れられています。

 

また、毎月初めに家庭に配られる給食献立表もこだわりたっぷりに作られています。献立表には、食べ物のコラムや雑学、かわいいイラストなど、親子で楽しみながら見ることができるよう工夫がいっぱい。給食のメニューをわかりやすく伝えるのはもちろん、この献立表をきっかけに、家庭でも地産地消や地域の食べ物について興味が高まれば…という想いも込められているそうです。

 

 

給食についての詳しい記事はこちらでご紹介していますので、ぜひご覧ください。

 

 

保育所やこども園で行う地産地消は、町や保育士たちの努力だけでは難しいもの。生産者さんをはじめ、地元の人たちの協力が不可欠です。子どもたちのために、地域が一丸となって進めている高浜の食育・地産地消の取組みは、とても素晴らしいものだと感じました。

 

 

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