2023.11.15

漁師町で、自分らしく生きる。ふたりが選んだ仕事とチャレンジ。

 

 

 

さわやかな海風と潮の香り、漁師町らしさが感じられる塩土区の路地でお会いしたのは、藤本雅広(ふじもとまさひろ)さんと遠藤航(えんどうこう)さん。藤本さんは大阪から、遠藤さんは京都から高浜へ来られた移住者です。今回は、そんなおふたりに、いまの暮らしや仕事などについて、いろいろお話を聞いてみました。

 

・・・

 

藤本雅広さん

大阪大学の学生時代に関西の学生たちが中心となった若狭和田ビーチの浜茶屋創出プロジェクトに2016年から参加。卒業後は高浜とつながりのある建築事務所へ就職、長く高浜との縁を深めてこられました。海の6次産業施設『UMIKARA』の設計にも関わられています。そして2023年、ご夫婦で高浜へ移住されました。

 

遠藤航さん

千葉県生まれ。京都の空間、Web、イベントなどの制作・プロデュースを行う会社へ就職し、京都駅付近で開かれた期間限定の屋台村『崇仁新町(すうじんしんまち)』など、イベントの現場で力を発揮されてきました。崇仁新町終了のタイミングで、高浜の6次産業プロジェクトに参加していた社長に呼ばれ、高浜へ。その後、地域おこし協力隊として移住されました。

 

 

 

やりたい!をあきらめない、

自分らしい漁師になる。

 

藤本さんは建築家、遠藤さんは地域おこし協力隊として町のイベントなどを企画・運営するという仕事をされていますが、おふたりとも新たに漁師という道を歩くことを選びました。

 

なぜ漁師にチャレンジしたのか、今までの仕事とはどうバランスをとっていくのか、その想いを聞いてみました。

 

 

遠藤:

「僕は地域おこし協力隊として高浜に来て、イベントなどを担当(賑わいの創出と水産業の魅力アップ)しています。最近までずっと、このまま自分のポジティブなところを生かして、人と関わる仕事をしていくんだって思っていたんです。でも、移住してから人との距離が近くなりすぎて、それが楽しいときがほとんどなんですが、たまにストレスに感じるときも出てきちゃって…。そんなときに船で漁師体験をさせていただく機会があったんですよね。」

 

 

遠藤:

「漁って自然が相手だから、魚が獲れるかどうかは運だし、海の上が仕事場なので命がけにもなる。そんな環境のなか、ただシンプルに魚を獲るということだけに集中して仕事をしていることに感動しました。それで、すぐに『僕、船に乗ります。』って言ったんです。」

 

 

 

漁師という世界に刺激を受け、自分の仕事として選んだ遠藤さん。けれど、イベントの企画や運営、仲間となにかをするという大好きなコトをやめるつもりはないそうです。

 

 

遠藤:

「将来的にはイベントの企画や運営は、仕事としてではなく、自分の生活の中の楽しみの一部としてやっていきたいと思っています。好きなことを仕事というカテゴリに置いて、ストレスになったりしたら楽しくないじゃないですか。仕事ではシンプルに、ただ一生懸命に魚を獲ることだけに集中していたい。それが今の僕にとってのベストバランスだと思っています。」

 

 

藤本:

「僕はもともと高浜に移住したら漁師をやるつもりでした。せっかく漁師町に住むのだから、やってみたいという気持ちが強かった。でも建築家としての自分も大切だったんです。だから、2つの仕事をどちらもやってやろう!って。」

 

 

藤本:

「朝からは漁師として魚を獲る、漁が終わったら建築家としての勉強や仕事をする。そんな漁師のカタチがあってもいいと思います。漁師だけじゃなく、他のこともやる。そんな2つを両立させた『やりたいことをあきらめないワークスタイル』を目指していきます。そして、それをたくさんの人に知ってもらいたいですね。こんな漁師のやり方もあるんだって。」

 

 

遠藤:

「僕たちは、まだ漁師になったばかりなので、偉そうなことは言えませんが(汗)まずは漁師としての経験を積んでいきたいと思っています。その経験から、今後はさまざまなことに挑戦していきたいと思っています。」

 

 

仕事として漁師と建築家を両立させようと頑張る藤本さん。漁師はオンリーワンの仕事で、イベントや好きなことは趣味として続けていきたいと考える遠藤さん。まだまだ漁師としては新人のおふたりですが、それぞれの強い想いを糧に、自分が思い描く漁師を目指して成長されていくのでしょうね。

 

 

 

ふたりを町に呼び寄せた、

高濱明日研究所の引力。

 

漁師以外でおふたりの共通点といえば、町づくりを行う有志団体『高濱明日研究所(アスケン)』のメンバーであること。藤本さんも遠藤さんも、かなりコアなメンバーで、アスケンのほぼすべての取組みで中心人物として活動しています。

 

高濱明日研究所メンバー 

 

高濱明日研究所は「明日あったらいいな」を考える有志団体。定期イベントの『アスフェス』をはじめ、子どもたちと町の特産品づくりに取り組む『コドモノアスケン』など、大人から子どもまで、町の人たちを巻き込みながら、みんなで楽しい町づくりを行っています。

 

そして今年『コドモノアスケン』が、住みやすい地域社会のためのすぐれた取り組みを表彰する「あしたのまち・くらしづくり活動賞」の内閣官房長官賞を受賞。アスケンのまちづくり活動が高い評価を受けました。

 

コドモノアスケン

 

藤本:

「僕が学生の頃に参加した浜茶屋創出プロジェクトでは、学生たちみんな、高浜をとても魅力的だと言っていました。僕も高浜が大好きになって、プロジェクトが終わってもよく来ていたんです。漁師小屋の歴史や特徴、個性を調査して論文にしたりして。そんな僕らの姿が、アスケンという団体が生まれたきっかけになったそうです。」

 

 

高濱明日研究所のSNS、noteのメンバー紹介で藤本さんが『アスケン発足のきっかけとなった男』と紹介されているのは、そういうワケなのですね。そして遠藤さんがアスケンのメンバーに参入します。

 

 

遠藤:

「アスフェスも、コドモノアスケンも、がっつり全部の取組みで関わらせてもらっています。アスケンは、僕が高浜に来て最初にやりはじめた活動なので、アスケンに対する想いは強いです。」

 

▼遠藤さんが取り組む「日本海シアターwith USFES」

 

藤本:

「僕の直接的な移住のきっかけもアスケンなんですよ。最近、アスケンがすごく盛り上がってきて、このまま大阪にいたらついていけない!って思いまして。移住後は、今までよりもアスケンの活動がしやすくなって、良かったです。」

 

 

 

 

漁師小屋の活用はじめました。

無人釣具屋をオープン。

 

いま、高浜町塩土区の空き小屋になっている漁師小屋で、無人の釣具屋がオープンしています。実は、この釣具屋のオーナーは藤本さん、そして遠藤さんなどのアスケンメンバー。塩土区の漁師小屋を活用したいという藤本さんの夢が込められた釣具屋です。

 

 

藤本:

「この無人の釣具屋『海老大将』は、空いている漁師小屋を活用させてもらったお店です。僕ひとりでやっているわけではなく、遠藤君やアスケンメンバーも一緒に。さらに漁師の人たちも有志でお手伝いしてくれて、とても心強いです。」

 

 

遠藤:

「無人の釣具屋に必要なものはなにか、なにを優先的にやっていけばいいのか、みんなでいろいろ相談しながら進めました。この付近って海釣りができるのに、釣具屋がないんです。エサの補充だけでも、わざわざ車を動かして買いにいかないとダメだったのが、ここですぐ買えるのはいいですよね。24時間営業なので、早朝の釣りにも便利だって、お客さんも喜んでくれているみたいです。」

 

 

藤本:

「この塩土区の漁師小屋って、全部で45件もあるのに、いまのところ漁師が2件しか使っていないんです。ほとんどが空き小屋か倉庫になっていて、本当にもったいない。この小屋たちを中心に、漁師町として盛り上がる景観をつくっていきたいと思っています。10年、20年後になるかもしれないけど、いつか必ずやりとげます。海老大将は、その夢の第一歩となるお店なんです。」

 

海老大将というお店をはじめることからスタートした、未来の漁師町の景観づくり計画。どんな風につくりあげられるのか、どんな盛り上がりを見せるのか、とても楽しみです。

 

 

 

移住者だからこそわかる、

高浜町のいいところ。

 

最後に高浜のいいところと足りないところについて教えてください。移住者という立場だからこそ感じる高浜の印象、ぜひ聞いてみたいです。

 

 

 

遠藤:

「高浜のいいところと言われたら、やっぱり自然です。海も山も、車で10分前後の範囲で行けるのはすごいと思います。あとは人。ちょっと距離感が近いけど、慣れてしまえば、町の人のあたたかさがとても心地いいです。逆に足りないところというか、欲しいな~と思うのはマクドと100均くらいですかね(笑)」

 

 

藤本:

「うん、人がいいですよね。距離も近そうに思えて、実はそれぞれに適度な近さを保っていると思います。新しいことをはじめたいって気持ちも受け入れてくれるし、意外に前のめりで協力してくれたりします。あったかいですよね。」

 

▼インタビュー中も近所の方に話しかけられる2人

 

藤本:

「足りないところは、ないと思いますよ。高浜になにか足りないって考えちゃうところが、足りないところなのかも。道や家やスロープをきれいに…とかよく聞きますけど、それをやりすぎると漁師町ならではの雰囲気とか、現状の良さもなくなっちゃう。いまのままの高浜の良さをみんなでシェアしていったらいいんだと思います。みんな本当はもう現状で満足しているんじゃないかな(笑)」

 

 

遠藤:

「僕はいまの高浜が好きですよ。高浜にいるきっかけをつくったのはアスケン、暮らすための手助けをしてくれたのは役場、そして町の人とのつながりがあって、いま漁師をしている。仕事もやりたいことも、自分らしくできているのは、高浜町のみんなのおかげだと思っています。」

 

 

藤本さんも遠藤さんも、本当に高浜が好きで、仕事、自分のやりたいこと、そして町を盛りあげること、どれもが自分にとって大切なことだと考えています。自分らしいライフスタイルを貫きながら、これからも高浜で楽しく活動していっていただきたいですね。

 

コメントを残す