2024.3.1

一次産業ワーケーションで「つなぐ」。

高浜町の六次産業と海業のリアルを体験する15日間。


高浜町では、2023年6月より、(一社)日本ウェルビーイング推進協議会と、和歌山県みなべ町・すさみ町、石川県能登町と共に ※一次産業ワーケーションを活用した人材育成プログラム『TUNAGUプロジェクト』に取り組んでいます。

 

 

※一次産業ワーケーションとは「一次産業の作業に関わることで、自分を空にする・空になる体験が伴う真のワーケーションのこと」。TUNAGUプロジェクトを主催する一般社団法人日本ウェルビーイング推進協議会代表理事であり、高浜町のワーケーションアンバサダーでもある島田由香さんによる造語です。

 

TUNAGUプロジェクトでは、高齢化・人口減少・担い手不足が深刻な農山漁村地域と、都市部で暮らす人々をつなぐ全15日間に渡る体験研修を行なっています。参加者はワーケーションをしながら、一次産業を中心としたさまざまな体験や人を通して、地域課題と向き合います。また、自分らしい生き方・働き方の選択肢を増やし、自身と地域のウェルビーイングの向上を目指しています。

 

 

 

高浜町での研修プログラム


高浜町での研修は2023年11月、12月、2024年1月の3回、延べ18名が参加。町の基幹産業である漁業に焦点を当てた体験研修が行われました。

 

研修内容は高浜漁港での大型定置網の水揚げ見学やセリ見学、漁協組合長からの漁や漁具についての話、親睦会など。参加者に、ありのままの海辺の生活と漁業の現場を感じてもらうためのプログラムです。

 

 

▼高浜漁港での大型定置網の水揚げの見学

 

▼漁協組合長からの漁や漁具についての話

 

水産業の六次産業化へ取り組む高浜町。一次産業の担い手「漁師」、二次産業の担い手「地域商社」、三次産業の担い手「UMIKARA〜魚と旅するマーケット〜」を掛け合わせ、水産業の “ ※ 関わりしろ ” を広げたい。そんな思いから、地魚を使った商品開発の勉強会、はもと加工販売所での魚の加工の手伝いなども研修内容に組み込まれました。

 

※関わりしろ

直接事業者以外が関ることができる余白。「情報を発信する方法が分からない」といった事業者の弱みを見せると、関係者以外の人は自分にできることを見つけやすく、人が集まる場所になる。

 

▼地域商社まちからの名里さんのお話

 

▼はもと加工販売所での魚の加工手伝い

 

さらにはUMIKARAで定期開催されている「昼市」での出店・それに伴う商品開発という大きなミッションも。

 

 

▼UMIKARA「昼市」での実践販売

 

その他の体験では、若狭和田ビーチでのビーチコーミングと海ごみを使ったアンブレラマカー作り、高浜小学校の地域学習への参加、漁師町の散策、地域住民との交流などが行われました。

 

▼若狭和田ビーチでのビーチコーミング

 

▼環境アーティスト永野さんによるワークショップ

 

▼地域学習「コドモノ明日研究所」に参加

 

▼漁師兼建築家の藤本さんによる漁師町歩き

 

最終日は参加者みんなで自分たちの考えた「海業の未来」についてのシェア会が行われました。都会では知ることができない水産業の現状と課題、模索するまちづくり、自然と生きる漁師の暮らし、地魚の美味しさ、売る難しさや可能性などについて、研修での学びと今後のアクションをシェア。これで高浜町での一次産業ワーケーションは終了です。

 

 

高浜町での一次産業ワーケーションでは、参加者みなさんがコーディネーターとして、プレイヤーとして、さまざまな観点から水産業と向き合っていました。また町内の人たちが、お互いを仲間として協力しあう姿も、とても心強く感じました。

 

 

高浜町での研修プログラム 詳しくはこちら(note)

 

 

高浜の研修はどうでしたか?参加者の方に聞いてみました。


高浜町だけでなく、和歌山県や石川県の一次産業ワーケーションにも参加される方が多いなか、全3回の研修すべてを高浜町に絞って参加された方がいらっしゃいました。

 

 

福岡県から参加された、波多腰 太さん。波多腰さんは、福岡を中心とした港開発事業・まちづくり事業に従事。地域創生コンサルタントとして活躍されています。

 

波多腰さんは、なぜ高浜町の一次産業ワーケーションだけに参加されたのでしょうか。

 

 

波多腰:

「私は以前、福岡県の六次産業化プランナーをやっていました。なので海業振興モデル地区である高浜町の取り組みを見てみたいと思ったんです。高浜町は漁協が元気で定置網を行っていること、また地域商社が関わる商業施設 UMIKARAがあることも決め手でした。3回すべて高浜町に絞ったのは、ひとつの地域でいろんな季節を体験したいという気持ちからでした。」

 

 

 

全3回の研修を通して、特に印象深かったことを教えてください。

 

 

波多腰:

「1回目に訪れた時は、自然の豊かさや宿の多さなど、町のポテンシャルに驚きました。2回目以降はなんといっても『人の強さ』ですね。民間志向の行政マンがいたり、地域商社の名里さんや商品開発ストーリーを語ってくれた森川さんたちの “ 巻き込まれ方 ” が印象的でした(笑)人柄と推進力、場がある素晴らしさを感じましたね。」

 

▼商品開発ストーリーを話す森川さん

 

波多腰:

「3回目では漁協組合長がお家に招いてくださって。町外から来た私たちにだからこそ、話してくださることもあって嬉しかったですね。よりディープに町の方とコミュニケーションがとれて良かったです。また、子どもアスケンの活動をみて、未来のあり方・私たち大人の責任の取り方を考えさせられました。」

 

▼漁協組合長、大黒さんのお宅で親睦会

 

研修ではUMIKARA昼市での出店・商品開発という大きなミッションもありましたが、どうでしたか?

 

 

波多腰:

「実は、私は元料理人なんです。道の駅の運営やアドバイザーとしても活動しているので、商品開発や販売では少しでもお役に立ちたいと思って頑張りました。ほかの参加者のみんなともスムーズに協力できて、楽しかったですね。このメンバーと出会えたことも大きな宝物だと感じました。」

 

 

昼市では、みなさんで考案した低未利用魚シイラを使った蒲焼と魚のスープカレーを販売。実際に商品を購入されたお客さんからは「蒲焼はあっさりして食べやすい」などの声もありました。

 

 

▼購入してくれた留学生。シイラを初めて食べたそう

 

高浜町の一次産業ワーケーションで、いろいろなことに挑戦された波多腰さん。今回の一次産業ワーケーションでの気づきや、今後につながるアクションについて教えてください。

 

 

波多腰:

「高浜町の未来をどうしたいか、漁業関係者や地域商社、子ども、若者、行政、みんな考えているんだけど、レイヤーが違うような感覚もあって。よそ者の我々がハブとなってレイヤーを重ねられるような場が作れたらいいなと思います。まずは次回のライフスタイルデザイン会議に参加する予定ですし、まち歩きイベントも企画しています。また、今回の参加者と商品開発プロジェクトを立ち上げるつもりです。」

 

 

高浜の人からも「コッシー」と呼ばれるほど、気さくで楽しい波多腰さん。またお会いするのが楽しみです!

 

 

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このTUNAGUプロジェクト・一次産業ワーケーションでは、町内からも多くの人が参加・協力をされていました。町の発展、産業の未来を考えて活動する頼もしい皆さんをご紹介します。

 

 

 

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