|  |  | 0

そして次のステージへ。第4回ライフスタイルデザイン会議レポート。


今年3月、つながりWEEKで開催された第4回目のライフスタイルデザイン会議。約1年に渡って行われてきたライフスタイルデザイン会議も、今回の4回目でフィナーレ。参加者それぞれの活動や想い、これから目標としていることなどを発表する会となりました。

 

第1回目~第3回目の様子はこちらをご覧ください。

 

 


  小口彩子さん「フェムテックサミット・クリエイティブビレッジ構想」


小口さんは東京からのUターン者で、帰省後に社会保険労務士の事務所を開業しましたが、ご自身の女性特有の健康事情やご両親の病気といった理由で、現在は事務所を閉鎖されています。

 

 

これから何をしていこうと考えたときに、ライフスタイルデザイン会議のゲストでもある石川淳哉さんのソーシャルグッドプロデューサー養成塾に参加。

 

 

社会課題はみんなの力で解決していく時代だということを学んだという小口さんは、自身の健康課題から気づいた、女性が健康の問題で仕事を続けられない、自分らしく生きられないという問題に着目されたといいます。

 

▼小口さんの発表資料より

 

そして小口さんは日本フェムテック協会の幹事に。多くの女性が社会に貢献できる未来をつくるために、まずは女性の健康課題について知ってもらうことが大切だと考えた小口さんは、フェムテックサミットの開催に向けて動き出します。クラウドファンディングを中心に、様々な活動を経て、とうとう今年2月19日にサミットの開催を実現。そのサミットは大きな反響を生み、明るい未来につながる確かな一歩となったそうです。

※フェムテックとは女性のライフステージにおける「生理・月経」「妊活・妊よう性」「妊娠期・産後」「プレ更年期・更年期」など様々な課題を解決できる製品やサービスのことです。

 

▼小口さんの発表資料より

 

発表の最後に、小口さんは、これから高浜でやりたいことについて語られました。それは女性をはじめとする多くの人の『小さなやってみたい』を応援するプラットフォームをつくりたいということ。ただの創業支援というわけではなく、トライしたいという気持ちをサポートする活動がしたいとおっしゃっていました。

 

▼小口さんの発表資料より

 

今までのライフスタイルデザイン会議でも、人は男性と女性しかいないのだから、女性が活躍できなければ半分の力しか使えないという意見がありました。小口さんの発表で、女性の活躍をサポートするフェムテックのことを知り、小口さんの活動に応援と心からの拍手を送りたい気持ちになりました。(小口さんのインタビュー記事はこちら

 

 


  永野由佳さん「ビーチコーミング&アンブレラマーカーづくり(海ごみアップサイクル)」


この会議で「ネガティブは宝」というキーワードを聞いて、とても大事にしたい言葉だと思ったという永野さん。和田ビーチの美しさに感動したという永野さんは、ビーチクリーンの参加だけでなく、海ゴミを利用したアイテムをつくるワークショップなども開催されています。

 

 

永野さんのワークショップはアンブレラマーカーという傘につけるアイテム作りが主流。何の価値もない海ゴミを宝物に作り替えることで、環境問題をもっと身近に、楽しみながら考えるきっかけにしてほしいと話されていました。

 

Photo by BLUE LABEL

 

またマーカーを取り付けるビニール傘自体も大漁廃棄の問題を抱えているアイテムであることから、この手作りのアンブレラマーカーをつけることで傘を長く大切に使いたいと思ってもらいたいという想いで続けられているそうです。

 

Photo by BLUE LABEL

 

 

そんな活動を続けるなか、永野さんは福井市にあるモノづくりの場、トンカンテラスさんで海ゴミのアップサイクル技術に出会います。機械で粉砕したゴミを熱で溶かして、製品として加工。このような技術を生かした海ゴミのアップサイクルを高浜でもやってみたい。海ゴミで世界にひとつだけのオリジナル商品をつくって、高浜からゴミに対する意識を変えていきたいと発表されていました。

 

Photo by BLUE LABEL

 

プラスチックゴミを資源として活用する利点や素晴らしさを、その成功例を挙げてご説明くださった永野さんのお話は、発表が終わった後も「高浜でもできないか」という議論につながっていました。町のために何かしたいと考える人たちに強く刺さった永野さんの発表。その活動や想い、プラスチックゴミの可能性にもテンションがあがりましたが、なにより、これこそライフスタイルデザイン会議!と思える参加者同士の輪を一瞬でつくりあげたことが印象的でした。

 

 


  伊藤彰さん「釈宗演ZEN三昧のつどいツアー開催」


高浜町は禅(ZEN)を世界につたえた伝道師、釈宗演さんの生誕地。伊藤彰さんは、釈宗演さんの偉業を伝える活動を行われている釈宗演を顕彰する「釈宗演顕彰会」の会長です。

 

 

伊藤さんは「釈宗演ZEN三昧のつどい」というツアーを開催したことについて発表されました。対象は関東や関西の人でしたが、距離の遠さがネックとなり、特に関東方面からの参加者は少なかったとおっしゃっていました。

 

 

ツアーでは、まず釈宗演さんを知ってもらうことを大前提に、生誕地や宗演さんの直筆が残る社号碑がある佐伎治神社、宗演さんゆかりの展示物が並ぶ郷土資料館などを巡ることからスタートしたそうです。

 

 

さらに宗演さんが子どもの頃に遊んだ寺子屋「長福寺」での座禅、お茶席などの体験。夜は顕彰会のメンバーと気軽な釈宗演談義。さらに「釈宗演と明治」の著者の中嶋美千代さんをお招きしてお話会。釈宗演さんの人柄など、楽しい話をいっぱい聞かせていただいたそうです。

 

 

たった数日だけど、町外の人が一緒に楽しく学べたことが良かったという伊藤さん。次は鎌倉でZENツアーをやりたい。そうすれば関東の人とも関わりができて、高浜ともつながってくれるんじゃないかと新たな想いを語られました。

 

 

伊藤さんの発表後、ライフスタイルデザイン会議の会場にツアーに参加された方がいらっしゃるということで、お話を聞けました。釈宗演さんがとても身近に感じられ、アットホームな良いツアーだった。こういう素敵な地域で生まれ育ったからこそ、釈宗演さんは高僧となられたのだと思うという感想を伝えてくださり、とても嬉しく感じました。

 

 

以前、ピン!ト編集部では、釈宗演さんゆかりの地をめぐるツアーに参加したことがあります。(釈宗演さんゆかりの地をめぐるツアーの記事はこちら)その時に伊藤さんが教えてくれた釈宗演さんの逸話や小話はとても印象的でした。伊藤さんの活動は、ZENの町としての高浜を盛りあげる核のようなもの。これからもさらなる活躍を応援しています。

 

 


  山崎慶子さん「ウェルビーイングリトリートツアーの実現」


マクロビオティックに基づいた食のアドバイスと施術を行うセラピスト、山崎慶子さん。より豊かな自然があるところで、食べることの大切さを伝えていきたいという山崎さんからは、リトリートツアーのチャレンジについて発表がありました。(山崎さんのインタビュー記事はこちら)

 

 

高浜は山崎さんの生まれ育った町。海や山、自然に恵まれたこの町のいいところを多くの人に知ってほしい、体験してほしいと常に思っていたところ、この会議で知り合ったゲストや参加者の方に声をかけ、昨年11月に初めての高浜ウェルビーイングリトリートツアーを実現させたのだそうです。

 

Photo by BLUE LABEL

 

ツアーのテーマはSHIFT(シフト)。「自分を知(シ)る」「深(フ)める」「整(ト)える」という内容の2泊3日のツアーです。まずは身体の状態に合わせた食べ物などのアドバイスを行い、身体の状態を良い方向へ深めるためのアクティビティなどを体験。

 

Photo by BLUE LABEL

 

さらにライフスタイルデザイン会議のゲストでもあるウェルビーイングの先駆者、島田由香さんのお話を聞いたり、座禅や海辺の早朝散歩、海を見ながら自分を見つめなおす時間もツアーに組み込まれたのだそうです。参加者の方もとても喜ばれていたのだと話されていました。

 

Photo by BLUE LABEL

 

ツアーの宿泊はおき田旅館さん。薬膳料理の勉強をされているということで、山崎さんが季節やツアー参加者のカウンセリングに合わせた食材をお伝えしたところ、なんと全ての食材を使用したお料理をつくってくださったのだとか。とても嬉しかったし、感動したと話されていました。

 

 

このリトリートツアーで、高浜の自然の素晴らしさをあらためて感じ、高浜の人の面白さを新たに知ったという山崎さん。発表の最後に、みんなが一緒に町の良さを伝えていくことで、町に来てくれた人も、迎える私たちも、みんなが楽しく笑顔になれると思うと話されました。

 

 

Photo by BLUE LABEL

 


  山本純子さん「高浜人研究所(素敵なライフスタイルを送る人を紹介)」


イラストレーターchuncoとして活動されている山本純子さん。似顔絵師として活動されていたのですが、新型コロナウイルスの影響で仕事が少なくなったこともあり、純子さんの旦那さんは地域おこし協力隊に。ご夫婦で旦那さんのふるさとである高浜へ移住されました。

 

 

移住者として高浜に来られてからもSDGs絵本を制作されるなど、似顔絵やイラストを生活の一部とされてきた純子さん。ライフスタイルデザイン会議でも、その様子や内容をイラストで記録するグラフィックレコーディング(グラレコ)に挑戦されていました。そしてグループテーマ「高浜人研究所」から、さらに似顔絵への意識を高められたといいます。

 

 

ライフスタイルデザイン会議をきっかけにつながった高浜人研究所のメンバーは、まずお互いを知りたいということで、自主的に月1~2回ほど集まることになりました。このコミュニティのおかげで、純子さんは高浜には面白い人がたくさんいると実感したといいます。

 

 

その面白い高浜人の似顔絵を描いていきたいと思ったという純子さん。さらに、ただ似顔絵を描くだけでなく、イラストやコメントもプラスして、その人の『物語』を描きだしたいと考えたそうです。そこで、まず高浜人研究所のメンバーの似顔絵を、ひとりずつ、丁寧に描いていくことにしたのだとか。

 

 

出来上がった似顔絵は広く町内外の人にも見てほしい、そして描かれている人たちに会いに来てほしい。人を大切にすることが町づくりにつながると思うという純子さんの想いを聞き、会場では似顔絵100人を目指してほしい、chunco(純子)さんが絵の描き方を教えるというコミュニケーションもいいのでは?と、様々な応援の声があがっていました。

 

 


 和田公民館うらら館長、村宮博明さん「町に活気と灯りを!“和田de灯音祭”に向けて」


高浜町和田地区で10年以上開催され続けてきた「和田de路地祭」。近隣住民や学生たちが協力し合う、地域のつながりで開催されていたイベントでしたが、時代の流れやコロナウイルスの影響などで、本来のカタチやテーマでの開催が難しくなったことから昨年惜しまれつつもフィナーレを迎えました。

 

 

和田の公民館の館長である村宮さんは、地域の行事がなくなり、まさにネガティブな状態となってしまった、なにかしないといけないという想いを抱えていたそうです。そこで小学生や中学生に向けて、和田を良くするためのアイデアを公募しました。

 

和田公民館では、昨年の夏に『自分たちのまちは自分たちで灯す』を合言葉に、全国で一斉に竹あかりを灯す「みんなの想火in福井県高浜町」という竹あかりのイベントが行われたのですが、そのイベントが子どもたちの心に強く残っていたのでしょうか。「灯り」と「音」のお祭りがしたいというアイデアが飛び出したそうです。

 

▼みんなの想火in福井県高浜町(2022)

 

イベントの名前は「和田de灯音祭(とうおんさい)」にしたい。祭では劇がやりたい。そんな小中学生たちの願いを少しでもかなえてあげたいと、館長はイベント開催に向けて歩みをスタートさせました。2023年の9月頃に第1回目の灯音祭をやりたいと、いま数人の有志とともに頑張っていると話されていました。

 

▼みんなの想火in福井県高浜町の様子(2022)

 

「和田de路地祭」はもはや高浜の秋の風物詩のひとつともいえるイベントでした。終わってしまうことを残念に感じていた町民は、私だけではないと思います。村宮館長のお話から、灯りをテーマにした新たなアイディア「和田de灯音祭」の開催に込められた、たくさんの人の想いや努力を知り、胸があたたかくなりました。

 

 

 


フィナーレ、そして次のステージへ。


皆さんの発表が終わった後は、恒例のライフスタイルデザイン会議の参加者みんなで班をつくり、これからやっていきたい活動や町づくりについてディスカッション。未来に向けて、頑張ろうという意識を高めつつ、終了のときを迎えました。参加者の皆さま、お疲れさまでした。

 

 

町のことが好きな人、町を盛りあげたい人、町を発展させたい人、いろんな高浜の人たちが集まって、自分らしい町づくりについて考えた全4回のライフスタイルデザイン会議。この約1年の間で、それぞれが新しい活動をはじめ、描いた未来に向かって歩き始めました。

 

 

この歩みを、築いた関係性を、芽生えた活力を途切れさせないために、ライフスタイルデザイン会議は次のステップ、『NEXT』へ移行します。これからも多くの人がワクワクしながら町づくりに参加していけるように、誰かのやりたいことを町のみんなで応援していけるように、気持ちがつながる場として続いていきます。

 

ライフスタイルデザイン会議のこれまでや、これからについては、note「ピン!ト~わざわざ若狭高浜~」で発信していきます。

コメントを残す